映画「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」公式サイト » STORY

 「とんだ駄作だな。1週間で打ち切る」と、パリの名立たる劇場の支配人から宣告されてしまった、無名の劇作家にして詩人のエドモン・ロスタン(トマ・ソリヴェレス)。時は1895年、主演の大女優サラ・ベルナール(クレマンティーヌ・セラリエ)に気に入られたことだけが、若きアーティストの唯一の収穫だった。

 それから2年、エドモンはスランプ一直線。そんな時、サラが名優コンスタン・コクラン(オリヴィエ・グルメ)に口をきいてくれる。だが、それは2時間後にコクランに新しい作品を持って行けというムチャぶりだった。

 カフェでまっ白なノートを前に呆然としていたエドモンは、店主のオノレ(ジャン=ミシェル・マルシアル)からヒントを得て、「醜男だが行いは華麗な人物」という設定を思いつき、実在した剣術家にして作家のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にしようと決める。しかし、シラノは200年も前の人物、あくまでキャラクターを借りるだけで、ストーリーは自力で生み出さねばならない。思いつく限りのアイディアを並べ立てるエドモンにコクランは、「喜劇」を条件にゴーサインを出すのだった。

 しかし多額の借金から、「パリ中の劇場から追放する」と古巣の支配人にキレられてしまうコクラン。そこで来年の1月1日まで借りているポルト・サン=マルタン座で、急遽「シラノ~」を上演すると決める。今日は12月5日、まだ1ページも書けていないのに、もはや時間がない!

 プレッシャーに押しつぶされるエドモンの前に、友人で俳優のレオ(トム・レーブ)が現れ、衣装係のジャンヌ(リュシー・ブジュナー)へのラブレターにアドバイスを求める。最初は渋々、愛の言葉を紡ぐうちに、エドモンの脳裏に次々とアイディアが! しかも、詩心のあるジャンヌからの返事も、創作意欲を掻き立ててくれる。エドモンはレオに成りすましてジャンヌと文通を始め、胸躍る物語を生み出すのだった。

 レオとジャンヌ、さらに浮気を疑う妻を騙し、台詞に文句ばかりのヒロイン女優をなだめ、台本を書き続けるエドモン。ところが、初日1週間前、予想もしなかった危機が劇団を襲う──!